Oリングの基礎知識
Oリングは、様々な産業分野において広く使用されているシール材料の一つです。
規格Oリングは、日本を含む多くの国々で需要事業者とその機関が協力し、研究・規格化された製品です。
このため、入手性が高く汎用性があり、多くの技術家や企業に採用されています。
日本では、日本規格協会が公表している規格以外にも、私企業が独自に規格化(シリーズ化)したサイズが存在し、利便性の面から広く使われています。
規格化されたOリングの利点は、豊富な実績に基づく汎用性の高さと入手性の良さ、共通性による大量生産での安価さが挙げられます。
また、JIS B 2401での品質条件や物性試験により、安定した製品が製造されることも確認されています。
Oリングの特徴
Oリングは、小さなスペースでも容易に取り付け・取り外しができるため、様々な産業分野で幅広く使用されています。以下にOリングの主な特徴を紹介します。
- 小さい装着部分容積 Oリングは、装着部分容積が小さいため、スペースの制約がある場所でも使用が可能です。
- 簡単な構造 Oリングは、構造が簡単であり、容易に取付け・取外しができます。これにより、作業時間を短縮することができます。
- 広い温度範囲 Oリングは、多種多様な材料から作られており、-60℃から+220℃という広い温度範囲で使用が可能です。また、耐薬品性や耐摩耗性に優れた材料もあります。
- 交互圧力にもよくシール機能を果たす Oリングは、両側からの交互圧力にもよくシール機能を果たすことができます。このため、高精度なシール性能を必要とする機器や装置にも広く使用されています。
- リーズナブルな価格 Oリングは、他のパッキンに比べてリーズナブルな価格で提供されています。
- 在庫が豊富 当社では、多彩な協力会社と提携しており、短納期でのご対応が可能です。お客様のニーズに合わせたOリングをご提供いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
Oリングの密封原理
Oリングは、みぞに装着された際、みぞの深さがOリングの太さより小さいため、Oリングはみぞにしっかりとはまります。
そして、Oリングの周囲にかかる圧力によって、Oリングが圧縮されます。
この圧縮によって、Oリングはみぞの壁面にしっかりと密着し、液体やガスなどの流体が漏れ出さないようになります。
また、片側から液圧がかかると、Oリングの反力が生じます。
この反力が液圧に対して大きくなり、自己の圧縮力を増強させるため、Oリングはより強固なシールを形成します。
このような自封作用がOリングの密封原理です。Oリングの密封性は、Oリングの適正な設計と適切な選定によって実現されます
Oリングみぞの選定方法
Oリングを運動用に使用する場合、ツブシシロは密封効果、摺動抵抗、圧縮永久歪などに大きく影響するため、必要最小限に抑える必要があります。
特にスピードが速い場合や潤滑条件が悪い場合には、一般的な運動用Oリングよりもさらに小さめのツブシシロを選定する必要があります。
固定用の場合、径方向に圧縮する円筒面固定用と、径方向と直角方向に圧縮する平面(フランジ)固定用に分かれます。
円筒面固定用に使用する場合は、一般的な運動用Oリングと同様にツブシシロを選定します。
平面固定用の場合は、ボルトの伸びやフランジ面の歪みによるツブシシロの減少を考慮して、運動用や円筒面固定用よりも大きめのツブシシロを選定する必要があります。
Oリングのスキマ設定
Oリングは低圧の状態では、ツブシシロによってしっかりと密封されますが、圧力が高くなるとOリングは変形し、その緊迫力を増して密封します。
しかし、高圧になるとOリングはピストンとシリンダー、ロッドとスリーブとのスキマにハミ出しを生じ、損傷の原因となることがあります。
そのため、スキマはできるだけ小さく設計することが重要です。
また、このハミ出しを防止するためには、バックアップリングの併用が有効です。
バックアップリングは、Oリングの後方に配置され、Oリングがスキマにハミ出すのを防ぐ役割を持ちます。
適切なバックアップリングを選定することで、Oリングの寿命を延ばすことができます。
バックアップリングの効果的な使用方法
Oリングに高圧がかかると、スキマからハミ出しが生じ、損傷の原因となります。このハミ出しを防止するためには、バックアップリングを使用します。
バックアップリングは、圧力が両方からかかる場合はOリングの両側に、一方向からの場合は圧力の反対側に1個装着します。
余裕がある場合には、一方向の圧力でも2個使用することをおすすめします。
バックアップリングには、合成樹脂が用いられ、テフロン(四フッ化エチレン樹脂)が最も一般的です。
バックアップリングには、エンドレス、バイアスカット、スパイラルの3種類があります。
効果的な使用方法は、エンドレスが最も優れており、装着の点ではバイアスカット、スパイラルが便利です。
Oリングの取扱いと保管上の注意
Oリングを装着する際は、治具を使用して、シャープエッジやネジ山などによってキズがつかないように注意してください。
ピストンをシリンダーに挿入する際には、Oリングを小孔のエッジで傷つけないように、図9のように注意してください。
Oリングを装着する際は、ねじれないように注意してください。
Oリングを装着する際には、Oリングとみぞに十分なグリース又はシール対象液体を塗布してください。
Oリングは原則として再利用しないでください。
Oリングを装着後、洗浄液で洗浄する場合は、洗浄液とOリングの材料との相性を確認し、適切に行ってください。
材料によっては、燃焼により有害ガスが発生するものがあります。Oリングの焼却処分はしないでください。
Oリングは直射日光を避け、湿度の低い場所で保管してください。
開封する直前まで保管し、高温にならない、空気の流通の少ない場所に保管してください。
Oリングに負荷がかからないように保管してください。
吊り下げた状態では局部的な変形が起こることがありますので、吊り下げないでください。
また、塵埃の少ない場所に保管し、油が付着しないように注意してください。
Oリングについてのお問い合わせ
弊社では、お客様のご要望に応じたOリングの製造を行っております。
以下の情報をお知らせいただくと、よりスムーズな対応が可能となります。
1.製品の用途や目的、必要な性能や仕様について
2.必要な数量や納期について
3.使用したいOリングの種類や色、特殊な加工が必要な場合はその内容について
また、弊社の取引先メーカーは多数ございますので、様々な種類の樹脂を取り扱っております。ご希望のOリングについてもお気軽にお問い合わせください。
なお、特注品につきましては、専用金物の製作も可能です。詳細についてはお問い合わせいただけますようお願い申し上げます。